親愛なる読者の皆さん 
虚業の王 内田比呂です

 

ガキを騙そうとする大人 騙されたふりをするガキ

そんな世界では今、お前がここで消え去っても誰も気にする者はいない

お前には何もない、相手には何も必要ではない

 

「虚の王」の一節だ

“まともな人間„なんてどこにいる

少なくとも上半身裸で歩いてる人に服を着るのを強要するような連中じゃないことだけは確かだ。

 

こいつらは肉塊に過ぎない…

 

子供の頃、周りは邪悪な心で溢れていた。
同級生だとか。こいつらがこのまま大人になるんだから“ヤバいな„と思っていたし
ガキだから純粋だなんて事はありえない。

 

『皆さんは一番になったことはありますか?』

『一番になれないと思っていませんか?』

『でもホントはみんな既に一番になったことがあります』

『それは皆さんが精子だった頃一番になって、この世に生をうけたことです』

 

女教師の最高にナルシシズムに満ちたスピーチと授業中絶え間なく鳴る警報機に

最早、自分がいるべき場所ではないと悟った。

 

 

丁度その頃、強烈な心霊体験もした。

 

夏の日、親せきの家に向かってひとりで遠出しており“もう二度と家には帰れなくなる„という奇妙な感覚とともに、

畑の中に伸びるまっすぐな一本道の夕闇で、小さな女の子に後ろから“お兄ちゃん„と呼ばれた。
帰りの遅い俺を心配した家族が迎えに来たと錯覚し何故かその娘を妹だと思ってしまう。

そのうちその娘のお母さんが現れて「お兄ちゃんのことはもういいから私たちだけでいこうね」となだめすかしている

 

「いやだ」「いやだ」とぐずる女の子

 

ああ、ずっと呼ばれてたのか、と全身鳥肌で振り返るのをやめた後も、ずっと「お兄ちゃん」「お兄ちゃん」と呼ばれ続けた。
でも、優しい母娘だった気がする。

 

“目に見えないこと„と“存在しないこと„は同じことじゃない。

ただし、人のこういった話は大抵が作り話だと思い信じないようにしている。

 

社会に出ても同じところをグルグル回った

 

中学を卒業してから友達がパンクロックを教えてくれた。
あらゆる音楽を聴いていたし、一緒にギターを弾いて、単車も車も入れ墨も彼から習った。
彼は付き合いづらくどこかしら壊れていたが、俺もまた壊れていた。

俺たちは高校に進学せず、多くの時間を共に過ごし、それでも一番の親友だった。

 

閉鎖された街の掃き溜めから何年経っても抜け出せず、どこに行っても同じような場所には同じような連中しかいなかった。

灰色の日々のなか、パンクロックだけはいつも輝いてみえていたけれど、何も変えられずに這いずり回るだけの悪しき習慣。

 

いくつになっても頭の悪いガキのままで、

これから自殺する男女が、自殺する前のセックスでもコンドームをつけていたという事象から、習慣というのは如何に恐ろしく如何に最強であるか分かるほどには賢くなかった。

 

 

当然のことながら女にもハマった

人から裏切られた経験がなかったので、それでも俺たちはまだかなり純粋(ウブ)だった。

 

「プラダを着た悪魔」も「プリティウーマン」も「シンデレラ」も皆ただのアバズレ

評論家なんて誰だってなれるという母の言葉は今思い返してみても正しかった

 

唯一、「幸福の条件」だけが最後は違ったかもしれないが…

 

 

大人になってからでは、一緒に肩を組んで泣いてくれるような相手には出会えない。

あの頃の彼の心を車のタイヤに例えると、今にもはち切れそうなパンパンに張った状態で爆発しそうであるのに対し、俺はホントに弾けてパンクしてしまい潰れてしまっていた。

 

色んな経験をして更に月日が流れ、それでもまだどうしようもない俺たちだった頃、何年も何年も昔、本来は屈強な刺青だらけの彼のマンションに行った時、
首吊り自殺用のほどけない縛り方をした縄と練炭があった。

 

俺たちは友達の筈だった…

 

あれからどうしただろうか  今、どうしているだろうか

 

「斜陽」には「不良とは、優しさの事ではないかしら」という表現がある

 

俺はこれからもパーティーを続ける

 

 

近日公開予定