親愛なる読者の皆さん 
虚業の王 内田比呂です

 

そしてあれから3年が経って…

俺にはもう、彼女が生きているのか死んでいるのかも分からなかった。

 

因果は応報へと向かうように物事には時機がある。

そんな出会いと別れと再会の追想のなかで過ごした。

友達は皆死んだ。

 

元来スリルが大好きで、激しく感情を揺さぶられて血を流さないと生を実感出来ない。

痛みを感じていたかった。

 

今も過去に生きている。

 

この記事では何ひとつ有益な情報としてお届け出来るモノは無く、時系列で進まないパルプフィクションであり、あべこべのパラレルでしかない。

思うがままを書いており、話は繋がっておらず、何も得られず、見出しタグに至っては何の意味もなかったりする。

 

 

神の子

 

ここはウクライナ。

 

「神の子と一緒にいれば問題ない」

そう言い放つカルロス(藤山カルロス)の運転で、トウモロコシ畑を横目で見ながらジェットコースターよりはスリリングな黄土色の道をブッ飛ばしていた時、“まぁこれで死ぬかもな„と少しは思いながら…

 

『だったらそんな神は殺してやりたい』

藤山カルロスこそ“もってる„男で、宇宙とマントルほどに差を感じたものだ。

カルロスが“神の子„であるならば、彼女はまさに“悪魔„そのもの。

 

 

激しい揺れの不快感はずっと続く。

 

マイニングエクスプレスの工場へひたすら車を走らせて、飛び出してくる警官たちも構わず振り切った。

ヘリで行くなら、偶に墜落するけど下が川だから助かるらしい。
成るほど、そいつはいい。何時間も揺られずに済む。

 

景色は決まって順繰りに現れては後ろへ流れていくけれど、遥か上空から見たら一度に見渡せるワケだから、時間は必ずしも一定方向へ流れていない。
戻ることも、早く遅く進めることも出来るのではないか。
それを操れる者がいるのではないだろうか。

そんな幻想と年を取らない彼女のことを考えながら揺られ続けた。

 

何度となく、“ひとりリーマンショック„を経験した後の俺は、まるで夜に溶ける頃に戻ったかのように退廃的で先が見えなかった。

「自分の将来のため」と言いつつ飼われているイヌよりは、それでも上手く吠えることが出来ていただろうか。

 

若かりし頃「恋人がいないと人として認められない」と感じていたらしいエリック・クラプトンのように「金がないと人として認められない」と感じていたから、稼げない自分を恥じた。

 

すべてが一時的な俺のビジネスは、ビジネスといえるシロモノではなく「持たざる経営」を行うどころか、“ただの人„
そんな俺では90度直角で落ちた後、同じ角度でまた上がっていける筈もなく、悲しいほど数学的なのはロックンロールだけではなかったよチャック・ベリー。

 

“スラムとハリウッド„

“日本とアメリカ„

“新宿の西と東„

 

ドラッグもセックスも当たり前みたいに早く覚える街には帰りたくなかったから

だから絵葉書をありがとう。
ゴッホの黄色とプルシャンブルーに教会と向日葵。

 

汚い手で人生を駆け上がる彼女は、それでも守るべき一線を俺の知らないどこかに引いた。

本編のブラウン・バニーからは決して聴こえないサントラぐらい全員が係わった。

 

 

希望がないのは飢えより辛い

 

ナチスは音楽によって滅ぼされた。

そんなレナード・コーエンの妄想を、中学の頃見せられたナチスのビデオが思い出させる。

これから殺されるユダヤの子供たちは空を飛びたいと願い、大人たちはセックスをした。

 

「聖なる嘘つき」は、ゲットーからアウシュビッツへ送られる絶望列車のなかマリアッチが助けに来た。

 

母さんがいて、父さんがいて、じいちゃんがいて、ばあちゃんがいて、ファミリー皆いて…

俺にはそんなもの見えないぜ。

 

 

マッチョイズムの典型。スポーツにオリンピック動物園。

これほど下らないものはない。

それが俺のブックメーカー嫌いな理由。

ワールドカップに浮かれる渋谷の馬鹿どもに爆弾を落とすのさ。

 

 

史上最大級のハリケーンがやってきた。

今すぐこの世界とやらを消し去ってくれ 音とモノトーン。

「比呂君、あの女が生きていると分かった!」

『彼女のことをあんな女なんて言い方はよせ』

結局俺もバカのままだ。麻薬みたいに退屈を殺せればもうなんでもいい。

 

You’re so fuckin’ special

I wish I was special

she’s dying out again

 

たどり着いたのは59BAR

40年前の埃を被ってる。

何事もなかったかのように突然現れて、

茶色い瞳で微笑みかける懐かしい顔

「最近、痩せちゃってさぁ」

 

・・・

・・・

・・・へぇ…

 

シャンパンは祝いの酒だ。今夜はマティーニを

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